AMトランジスタ ラジオ キット2P3(復刻版)の組み立てと調整

トランジスタ ラジオ キットを初めて作ったのは中学校の技術家庭科の授業でした。「2SAxx」や「2SBxx」といった缶タイプのゲルマニウム トランジスタを使った黒い四角形のラジオだったと記憶しています。当時が懐かしくなり、教材向けのラジオ キットを組み立てました。

目次

2P3(復刻版)の組み立て

さすがに当時の教材を探し出すことは叶いませんでした。今はDSP方式ICを採用したキット全盛で単体トランジスタを使った実用性のあるキットは少ないです。TECSUN社から発売されたAMラジオ キット「2P3」の復刻版をネット通販で購入しました。プリン基板上のIFTの配置が変更された後期バージョンでした。

2P3(復刻版)のケース外観はレトロ感がありますが内部回路は現代風にアレンジされています。トランジスタ3つ(周波数変換(局発・混合)x1,中間周波増幅x2)、455kHzセラミックフィルタ、ダイオード1つ(検波)、オーディオICが1つ(音声増幅)です。ラジオとしての基幹部分はトランジスタやダイオードといったディスクリート部品で構成されています。

組み立てマニュアルは中国語でした。カラー写真や図、表が多くパーツの型番は英数字、それに”漢字”だし”なんとかなるさ”と思ってましたが、はんだ付け終了後のテスト受信では音が出ませんでした。組み立てマニュアルをよく読む(Google Lensに翻訳頂く)と、電流値を測定するためにプリント基板裏面3箇所の配線パターンが切れていることに気づきませんでした。

配線パターンを「はんだ」でショートして完成、この段階では未調整でしたがローカル局を受信できました。

2P3(復刻版)
パーツ毎に整理されてパッケージされています。後方に見える詳しい組み立てマニュアルが付いています。
赤茶色の2P3ケース
ポケットサイズの赤茶色のケースはレトロ感があります。
組立てマニュアルをGoogle Lensアプリで翻訳中
AMラジオキットに同封された中国語の組立てマニュアルをGoogle Lensアプリで翻訳中

組み立て後の調整

キット付属の組み立てマニュアル(裏面 p.10)の手順に沿って調整を行いました。調整箇所はIFT(中間周波トランス)のコア(黒色、黄色)、OSCコイルのコア(赤色)、トリマ(局発側(OSC)とアンテナコイル側(ANT)の2つ)、バーアンテナ(2つのコイル位置)です。

IFTは工場出荷前に中間周波数に調整されていることやセラミックフィルタSFU455Bが入っていることもあり、組立後の中間周波数に合わせるコア(黒色、黄色)調整は容易でした。中間周波数455kHzに合わせるというより、セラミックフィルタの中心周波数(通過帯域特性)に合わせる感じです。

バーアンテナのコイルの位置決めは受信感度に敏感でした。

組み立てマニュアルにはラジオの調整方法や注意事項が詳しく書かれていて参考になりました。現代風にアレンジされた2P3(復刻版)は受信感度も良好で組み立てやすいキットでした。

2P3の内部
バリコンの横が局発・混合のOSCコイル(赤色のコア)、その横がIFTの前段(黄色のコア)、下段右側が検波段(黒色のコア)。
2P3の内部
中央の黒い四角形のパーツ(SFU455Bの刻印)がセラミックフィルタ。
2P3の内部
検波部(ダイオードとCRフィルタ)のパーツは、金属ケース(下側)でシールドされています。丸穴からダイオードとコンデンサが見えます。
2P3の内部
トリマ(OSC、ANT)の調整が必要な場合は別途非磁性の高周波ドライバー(写真手前)が必要です。

ラジオを聴く機会が増えました

久しぶりにAMラジオで中波帯を受信してみると家の中のノイズの多さにびっくりします。電源コンセントから電源プラグやACアダプタを抜いていくとラジオからのノイズが消えていきます。
AMラジオを心地よく聞くには電子機器からのノイズが少なく、電波の受信状態が良い窓側のテーブルが特等席でした。ステイホーム中、BGMとしてラジオを聴く機会が増えています。

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