昭和初期の真空管ラジオ「ナショナル PS-54」の修復:コンデンサ、抵抗、配線材、真空管の交換

納戸で眠っていたナショナル PS-54型 真空管ラジオの修復が一段落して良好に受信できるようになりました。

目次

ナショナル PS-54型 真空管ラジオ

昭和28年発売、当時の日本製品では珍しいGT管を5本使ったセミトランスレス5球スーパーラジオ(中波放送535~1605KHz)です。バーアンテナなのでローカル局は外部アンテナ無しでも受信できます。

キャビネットはチョコレート色のベークライトのような材質で作られており、粋なデザインです。

部品交換が終わったナショナルPS-54型真空管ラジオ
部品交換が終わったナショナルPS-54型真空管ラジオ。半世紀前のラジオとは思えないほど良好に受信できています。
PS-54背面の裏蓋
背面の裏蓋です。外部アンテナの取り付け端子がついていますが、ローカル局は内蔵のバーアンテナのみで受信できます。

製造後半世紀以上経った真空管ラジオの修理は部品探しからスタート

ボリューム付近に補修跡がありますが、他の部品は当時のままのようです。ペーパーコンデンサといった電子部品や線材の劣化が激しいです。

線材は触ると被覆がぽろぽろと砕けて落ちてきます。ペーパーコンデンサはロウ(パラフィン)が溶け出して固形化しています。この状態で電源スイッチを入れるとショートや発火するなど危険です。

修復前のPS-54のシャーシ内部
修復前のPS-54のシャーシ内部

ケースの内側に貼ってある回路図を頼りに秋葉原 東京ラジオデパートのパーツ屋さんで互換部品を調達して交換、配線をやり直しました。店舗は少なくなりましたが現在でも部品調達ができるのは有難いです。

当時の設計値と同じ値の抵抗やコンデンサが入手できないときは±10%内で値の近いパーツで、ブロックコンデンサは同じ耐電圧の電解コンデンサ3個で代用しました。

電解コンデンサ以外のコンデンサにはフィルムコンデンサを使いましたが、局発部の設計値445pFにはマイカ コンデンサ(430pF CDM社製)使っています。

東京ラジオデパートで集めた部品交換用のコンデンサと抵抗
東京ラジオデパートで集めた部品交換用のコンデンサと抵抗です(一部)。
部品交換後のシャーシ内部
部品交換後のシャーシ内部。配線コードは手持ち品を使ったので太くて色はバラバラです。

コンデンサ、抵抗、配線材は全て、真空管は2本を交換。感度良好

コンデンサ、抵抗、配線コードはすべて交換、真空管2本(12SK7、12SQ7)を交換、新品のダイヤル糸でバリコンの糸掛けをやり直しまた。バリコン、IFT、コイルボビン(OSC、バーアンテナ)、トランス(スピーカ出力、 B電圧昇圧・パイロットランプ)、ボリュームは、絶縁チェックして再利用しています。

配線チェック後、ドキドキしながら電源ON、スピーカから令和の放送が聞こえました。半世紀前のラジオとは思えないほど感度よく受信できています。

古いラジオです。今回の修理では交換できなかった部品もあるので漏電事故に注意しながら調整作業を楽しんでいます。アナログ回路は奥深いです、日々勉強中。

GT管は12SA7、12SK7、12SQ7、35L6、35Z5の構成
GT管は12SA7、12SK7、12SQ7、35L6、35Z5の構成。A電源(フィラメント電源)はトランスレスですが、写真右奥に見えるB電圧昇圧用の単巻トランスを持つセミトランスレスです。※SERIAL NOは写真加工で消してます。
ケース内部の側面には結線図と糸掛け図
ケース内部の側面には結線図と糸掛け図が貼ってあります。この時代のラジオでバーアンテナは珍しいです。 ※SERIAL NOは写真加工で消してます。

真空管を扱った機器は内部で高電圧が使用されています。内部のシャーシや配線に触ると感電するなど非常に危険ですので注意しましょう。

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