Raspberry pi CM4の格納ケースに冷却ファンとNVMe M.2 SSD取り付け用の穴加工とI2C延長モジュールの実装

Raspberry Pi Compute Module 4(以下CM4)をセットしたIOボードにゴム足を付けて基板むき出しで使っていたのですがケーブルの収まりが悪いので「CM4 IO スマートケース」を購入してプチ改造した際のメモです。
CM4は、Raspberry Pi 4 Model B(以下4B)の産業・組み込み用途向けモデル。セットアップ方法は多少異なるものの、OSやGPIOは互換性があるので同じアプリケーションや各種センサモジュールが動作します。

天板に穴あけ後の CM4 IOスマートケース
天板に穴あけ後の CM4 IOスマートケース(ゴム足は交換しています)
目次

CM4 IOスマートケース

CM4にはIOコネクタの実装がないので、CM4専用のRaspberry Pi Compute Module 4 IO Board(以下、IOボード)とセットで使っています。IOボードには、4BのUSB3.0コネクタの代わりにPCIeスロット、RTCとバックアップ用の電池ホルダ(CR2031)が追加されています。

購入したCM4はeMMC内蔵(のためスロットは付いていてもmicroSDカードは使えない)タイプなので、セットアップ方法は多少異なるものの4Bと同じOSをeMMCもしくは PCIeスロットに挿したNVMe M.2 SSD カードからブートできます。

あわせて読みたい
Raspberry Pi CM4で on-board eMMCと PCIeスロットのNVMe M.2 SSDからOSブート Raspberry Pi Compute Module 4(CM4)向けのNVMe boot support のEEPROM( pieeprom-2021-07-06: Promote to STABLE )がリリースされたので、on-board eMMCと PCIeス...

  

金属加工された「CM4 IO スマートケース」は、IOボードの各種インターフェース用のケーブル差し込み口が精度良く加工されています。購入時から判っていたことですが、コンパクトで取り回しやすい反面、PCIeスロットやGPIOを使うには狭いです。ケースを開けることなくNVMe M.2 SSDの交換やケース外で各種センサ類をI2C接続できるようにプチ改造しました。

購入したCM4にはWi-Fi/Bluetoothが無いタイプなので外付けアンテナは取り外しています。ケース前面に緑色の押しボタンスイッチがついているので、早速設定しました。
  

電源SW(押しボタンスイッチ)でシャットダウンと起動を行う設定

4BやCM4にはデフォルトで、
 ・稼働中にGPIO3(ピン番号 5)とGNDが短絡したときにシャットダウン(低電力モードで動作)
 ・シャットダウン状態で GPIO3 と GND を短絡すると起動
を1つのスイッチで実現できます。

この設定は物理的に電源遮断するものではないので、電源を立ち上げ直す必要がある時は電源コネクタを挿し直す(電源スイッチをON/OFFする)必要があります。

nanoでconfig.txtファイルを編集して、シャットダウンの設定を追加します。

sudo nano /boot/config.txt

少し触ったりしても電源が落ちないように、2秒長押しでシャットダウンするようにdebounce=2000(デフォルトは100)を追加しました。

dtoverlay=gpio-shutdown,gpio_pin=3,debounce=2000

config.txtに上書き保存した後、設定反映するためにシャットダウンします。この後は、ボタンスイッチを押すことで起動とシャットダウンができます。
詳細は、インストールしたRaspberry Pi OSの/boot/overlays/READMEを「gpio-shutdown」で検索するとヒットします。

起動はGPIO3に割り当てられた機能です。GPIO3はI2C 用のピンを兼ねているのでI2Cを利用している場合は、新たにi2c-gpio( ソフトウエアI2C)としてGPIO 5 と GPIO 6 などを割り当てる設定が必要です。

CPU冷却ファンの制御設定

付属する常時回転のケースファンを取り外して、GPIOにつないで温度制御ができるヒートシンクと一体型のPWM制御CPU冷却ファンを実装しました。

ファン温度は、Raspberry Pi OSのメニューの「設定」–>「Raspberry Pi の設定」–>「パフォーマンス」で行います。デフォルト設定は 80度です。

あわせて読みたい
Raspberry Pi OSでRaspberry Pi CM4のCPU冷却ファンの制御設定 河津桜も三分咲きになり日増しに暖かくなってきました。夏場の熱対策として、Raspberry Pi 4 Model Bの産業・組み込み用途向けモデル Raspberry Pi Compute Module 4(C...

  

CPU冷却ファン吸気口とNVMe M.2 SSD取り付け用の穴加工

ケース内にCM4+IOボードを組み込むとCPU冷却ファンがふさがるので、電気ドリルとミニホールソーを使って、天板に37φの吸気口を開けました。
ファンに触れないように天板にFANガードをゴムプッシュを挟んで固定します。

ケース外からNVMe M.2 SSDを挿せるようにPCIeスロット真上に28φの開口を開けています。
T字型のPCIeアダプターカードはケースに干渉するので、I型のPCIeアダプターカードを使います。

ケース天板に開けた2つの開口部
ケース天板に開けた2つの開口部。ケースに挿しているNVMe M.2 SSDはtype2280、手前はtype2230(キオクシア、128GB)

購入したCM4はeMMC内蔵なので外部デバイス無しでもOS起動できますが、高速かつOSセットアップ済のNVMe M.2 SSD基板を差し替えて異なるOSを直ぐにbootできるPCIeスロットの使い勝手は手放せません。

あわせて読みたい
Raspberry Pi CM4で NVMe M.2 SSDから Raspberry Pi OS 64ビット版をブート Raspberry Pi OS 64ビット版を Raspberry Pi Compute Module 4(以下、CM4)のPCIeスロットに挿したNVMe M.2 SSDからブートした際の作業メモです。 【Raspberry Pi OS 6...

  

i2c-gpio (ソフトウエアI2C)の割り当て、I2Cをケース外に10m延長

i2c-gpio (ソフトウエアI2C)の割り当て

GPIO3を電源起動に使うので、新たにi2c-gpio( GPIO 5 と GPIO 6 )を割り当てる設定を行います。

SoC内蔵のI2Cを無効化
/boot/config.txt中にある「 dtparam=i2c_arm=on 」を #でコメントアウトします。

#dtparam=i2c_arm=on

  

i2c-gpio( GPIO5 と GPIO6 )を割り当てる設定
boot/config.txtに下記を追加して保存します。 CM4を再起動すると指定したピン( GPIO 5 と GPIO 6 )が i2c-gpio (バス番号 3)になります。

dtoverlay=i2c-gpio,bus=3,i2c_gpio_sda=5,i2c_gpio_scl=6,i2c_gpio_delay_us=2

  

SoC内蔵の I2Cはプルアップ抵抗が実装されていますが、i2c-gpioの場合は外付けのプルアップ抵抗が必要です。マスタ側、スレーブ側ともにLTC4331モジュール基板上のランドパターンをショートしてプルアップ抵抗(10KΩ)を有効化します。

呼称SDAの割当て
GPIO名称
(ピン番号)
SCLの割当て
GPIO名称
(ピン番号)
備考
1SoC内蔵の I2C
(ハードウエア I2C)
GPIO2
(3 番ピン)
GPIO3
(5 番ピン)
GPIO2と3はプルアップ抵抗内蔵
2i2c-gpioドライバ
(ソフトウエアI2C)
GPIO5
(29 番ピン)
GPIO6
( 30番ピン)
外付けのプルアップ抵抗が必要
あわせて読みたい
Raspberry Pi CM4とINA228を i2c-gpioドライバ(ソフトウエアI2C)で接続して電圧、電流測定 ソフトウェアでGPIOを操作 (Bit banging)してSDAとSCL相当のシリアル波形を作って通信を実現するi2c-gpioドライバ(software i2c)を Raspberry Pi 4 Model B...

  

ケース外へのI2C+電源の延長

ケースにCM4+IOボードを内蔵するとGPIOへの各種センサモジュールの接続が面倒です。しかし、I2Cは基板やケース内の近距離用のインターフェースなので遠くには引き出せません。
ケース外でも安定して使うために、LTC4331モジュール(マスタ、スレーブ用の 2個セット)を使ってI2Cを延長しました。マスタ側をGPIOに接続し、外部への配線引き回しにはLANケーブルを使います(LAN用のハブは使えません)。

LTC4331モジュールのマスタ側とスレーブ側をつなぐLANケーブルは、 通信用には4番線と5番線しか使いませんが、スレーブ側のLTC4331モジュールと接続する I2Cモジュールに給電するために1番線に3.3V、2番線にGNDを追加で割り当てました。

LANケーブルは、ケース背面の取り外した無線LAN用アンテナ取付穴にグロメット(ゴム)で養生して引き込んでいます。

今回使ったLANケーブルはストレートケーブル(B配線)だったので、利用する 1(3.3V、白/橙)、2(GND、橙)、4(通信、青)、5(通信、白/青)をLTC4331モジュールのLANコネクタのランドパターンに直接はんだ付けしました(*LANケーブルのワイヤ色は異なる場合もあります)。

i2c-gpioに割り当てたGPIO5 、GPIO6、3.3VとGNGピンからくるジャンパーワイヤをLTC4331モジュール基板裏面の該当端子にはんだ付けします。

GPIOの接続図
GPIOの接続図。
GPIO and the 40-pin Header | raspberrypi.orgより引用して追記
LTC4331モジュールのマスタ側はGPIO横に裏返して取り付け、スレーブ側はLANケーブルでケース外に配置
LTC4331モジュールのマスタ側はGPIO横に裏返して取り付け、スレーブ側はLANケーブルでケース外に配置

現在10mのLANケーブルを使っています。LANケーブルの先には、スレーブ設定したLTC4331モジュールを介して、I2Cデバイスに4線(SDL、SCL、3.3V、GND)を供給します。

あわせて読みたい
Raspberry Pi CM4のI2CバスをLTC4331でLANケーブル延長してINA228で電圧・電流値を遠隔モニタ I2C接続のINA228を搭載した電流・電圧・電力計モジュールを使って、真空管パワーアンプの845出力管のフィラメン端子にかかる電圧と電流値をモニタした際の作業メモです...

スレーブ側にBME280センサモジュールをつないで動作確認(2022/07/30追記)

電源が入ると両方のLTC4331モジュール基板上のLINK のランプが点灯すれば通信はOKです。スレーブ側から引き出したI2C(SDA、SCL)と3.3V、GNDに接続したBME280センサモジュールを動作確認します。

LXTerminalで下記コマンドを投入すると、i2c-3(バス番号3)にBME280のアドレス(0x76)が見えます。

ls /dev/i2c*
i2cdetect -l
i2cdetect -y 3
スレーブ側に接続したBME280センサ
スレーブ側に接続したBME280センサ
I2Cバスにつながったデバイスの確認
I2Cバスにつながったデバイスの確認

Python3:BME280から測定データを取得(2022/07/30追記)

Raspberry Pi OS with desktop(bullseye)にプリインストール されているThonny Python IDEを使ってPython3コードでBME280の気圧、温度、湿度の測定データを取得できました。

あわせて読みたい
i2c-gpio (ソフトウエアI2C)を割り当てたRaspbery Pi CM4とBME280センサで気圧、温度、湿度の測定、CSV... i2c-gpio (ソフトウエアI2C)を割り当てたRaspberry Pi Compute Module 4(以下CM4)とBME280センサモジュールで気圧、温度、湿度を測定した際の作業メモです。LTC4331モ...

  

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次